日常の足跡

ぽとすと申します。線維筋痛症、慢性疲労症候群、AC /日々の養生について

ともだち

 先週の日曜日、病院の帰りにダイソーに行って、小さいサボテンの苗を買ってきた。

 ここ数年おしゃれな花屋や、雑貨屋で、水栽培されているサボテンがよく売られてる。こんな斬新な育て方、なんだかおしゃれやんと思いつつ、サボテンなんてほとんど水を必要としない植物を水栽培するなんてすぐ腐って枯れるだろうと思っていたのだが、ネットで調べてみると、結構うまくいくようで花も咲いたという記事もある。じゃあ最初は枯れても罪悪感のない100均のサボテンでトライしてみようとダイソーに走ったのだった。

 

 ネットで見た記事を参考にして、まずゴミ袋の上で完全に土を落とす。百均の土はガサガサのかぴかぴに乾燥していて、水にぬらしてもなかなか落ちてくれない。流水で洗い流しつつ、根の隙間に挟まっている土を指先で優しくこすりとした。それから2,3日乾燥させてから根の1/3くらいを水に付けたらいいと書いてあったのだが、根に土が残っているとそこから腐敗するとも書かれていて、思い切ってほとんど根を切ってしまった。多分、これでも大丈夫。サボテン、多肉は本体から小さい子株を切り取って土の上に置いておくだけで、根が勝手に生えてくるものなのだ。いや、しかし、水栽培は事情が違うのだろうかと、根が完全になくなったサボテンをまじまじと見つめる。もう切ってしまったのだから仕方ないと思って、早く水につけたい衝動を抑えつつ3日ほど机の上で乾燥させた。

 

三日後の朝に、完全に根本がかぴかぴになっていることを確認してから、プリンの容器につけようとしたら、なんと、サボテンが小さすぎて根本が容器の下にくっついてしまう。これでは水に水没してしまうのでまずい。結局家にあったR1ヨーグルトを飲み干して上部だけ切り、サボテンを上から入れると丁度切り口ギリギリに水につけることが出来た。ここでサボテン本体まで水を付けると、腐りやすくなるので避けなければならないらしい。表面張力で水がすっとサボテンにまとわりついているが、これくらいは大丈夫だろう。

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 しかしここから毎日腐らないかが心配だった。今まで沢山の多肉を育ててきたが、植え替えたとたん株がぶよぶよしてしまい何故か腐ってしまったことがしばしばあった。特に今回は水栽培という人生初のチャレンジだ。ネットで画像検索すると、おしゃれな細身の花瓶の中で根っこがふさふさに伸びたサボテンたちが出てくるのだが、果たしてうまくいくのだろうか。

 2,3日様子を見てみたが、なんだかカットした根本が黒ずんできている気がする。一度容器から出して下から覗き込みながら根本を指先でちょっとふれてみる。よし、しっかり固い。腐り始める時は、色が変わったところから柔らかくなってくるのでまだ腐っているわけではなさそうだ。とりあえず水を変えて、リキダスとメネデールという栄養剤をちょっとだけ垂らしてまた根本を水につけた。はっきり言ってやれることはすべてやっているので、あとは水を変えるくらいしか私にできることはない。これが甲とでるか乙と出るか、もう神のみが知る領域である。毎日朝起きたらそっとサボテンを触って、大丈夫、今日もまだぶよぶよしてないとホッと胸をなでおろす日々が続いていた。

 

 今日の朝起きて触ったときも人差し指でそっと触れてしっかり固いことを確認した。よし、まだ大丈夫。ここまで来れば腐らないかもとしげしげとサボテンを見つめてると、白くて小さいとげがいつもよりちょっとだけ張りがあるような気がする。サボテンを容器からつまんで下から根元をのぞき込むと、なんと、小さな小さな白い根が2本出ているではないか!!!やったーうまくいった!ウキウキしながら水を変えてやる。丁度1週間で根が出た。最初はひやひやしながら見ていたが、こんなに早く根が出るなんて。

 

一人暮らしになってから一番最初にしようと思ったことは、植物を育てることだ。実家からカットして持ってきたアイビーを水栽培にしているのと、同じく実家から鉢ごと持ってきたリプサリス、新しく買ったぺペロニア、アーモンドネックレスを今は育てていて、ちゃんとライトで照らして小型のサーキュレーターも回して、植物にとってベストな状態を作るようにしている。ベランダが狭すぎるので何も置くことが出来ず、3段ラックの一番上の小さいスペースが私の庭なのである。

 

体調が悪くなった14年前から本格的に植物を育てだした。体の痛みと倦怠感で外出もままならず他にできることが何もなかったからだ。最初は多肉植物に育て出した。水やりの頻度が少なくあまり手間がかからないので体調の悪い私にとってちょうどよかった。毎日重くてだるい体を引きずってベランダの小さい椅子に座り込み、プリプリの多肉たちを眺めるのが日課だった。そこから、今みたいに爆発的に人気が出る前からビカクシダに手を出して、食虫植物も育てていた。バナナ苗を育てていた時もある。その当時住んでいたマンションは12階の南向きのベランダで非常に風通しと日当たりがよく、熱帯植物がとても生き生き育った。数年前に西側ベランダの部屋に引っ越してしまい、西日が強すぎて大分枯れてしまったのだけど、できる範囲で細々と園芸は続けていた。そして一人暮らしになってからも今だに植物と私はともに暮らしている。

 

 日が落ちてしまった時分に窓から光が刺さなくなると胸の奥が空っぽなに感じる時がある。しかしそう言う時ほど、ライトに照らされてつやつやしている植物を眺めていると一人じゃないと思える。長い長い間の病気生活で私は友人というものがひとりもいない。皆何気ない事をlineしあったり、空いてる時間にお茶したりしてるのだろうけど、私にはそういった相手が誰もいなくてやっぱり寂しい。自分だけ遠く遠くの世界に流されてしまったように感じる。しかし、私には植物がいる。体中が痛くて外出できなかった日々も、数年前メニエールでほとんどベッドで過ごしていた日々も、いつも植物に水をやったりそっと触れたりすることで何とか生き延びてきたし、植物は私を支えてくれていたのだ。別に友達が人間でなくてもいいのだ。

 

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